漆塗り 仏壇, 漆塗り 屋台

春、進捗

 

梅が咲き、桜が散り、若葉が萌えています。
日に日に温かくなり、昨日はことし初めて店先に簾を出し日を除けました。
暦の進み以上に、肌で感じる季節の移ろいに益々仕事に対しての’温度’も高まってまいります。

 

現在職場では八つのご依頼が同時進行しております。

祭り屋台は三台、宇佐崎屋台・黒田屋台・山崎屋台をお預かりしています。

 

こちらは夢前コウバでの山崎屋台、写真奥は二台分の高欄台です。

下地を重ねていきます。
きれいな下地付けが研ぎやすさに繋がり、それがきれいな塗り面を造る必須条件です。

もちろん下地は堅地(かたじ)。漆による下地です。

 

こちらは黒田屋台と宇佐崎屋台。
屋根内部補強のあと天地を戻し、
野地板継ぎ目・釘痕の刻苧(こくそ)、それが良く硬化してからの木固めの時の写真です。

神輿屋根は特に各工程をしっかり硬化させることが重要なのでじっくり時間を掛けて進めます。これは今月(4月)頭、下地付けが始まった時の様子。

 

こちらは宇佐崎屋台、

一回重ねるごとに表面が均されていきます。

現在この二台は一度目の麻布着せを終え、下地の四分の一くらい進んでいます。

 

奥の職場では三台の屋台の分解できる部品、高欄や斗組・井筒などを進めています。

三台分を同時に進めています。
元々手狭な職場なので、作業しては養生、そして移動を繰り返しています。

 

少し先行する黒田屋台露盤彫刻。

 

山崎屋台が布団屋台ということもありとにかく部品点数が多いです。
これは山崎屋台の斗組、

小斗は400個以上あります。それぞれに皿斗があるのでそれだけで800超え。

一つひとつに番号を振り、元々の向きも控えます。

この作業だけで二日掛かりました。
現在、高欄・斗組・井筒それぞれ下地が大方終了しています。

 

そして一台新調仏檀も制作中です。
今の時代なかなか誂えの仏檀のご注文はないのですが、久しぶりに頂いたお話し、
喜んで頂けますよう精一杯努めてまいります。

こちらは作業前の「屋根」。

宮殿(くうでん)師、奥居隆夫氏の作品です。非常に精緻な造り。

もちろん下地から上塗りまで、祭り屋台と同じようにすべて漆を使って仕上げています。

 

こちらは県外からお預かりした獅子頭、
割れがあるとのことで、木地修復からです。

現在は下地修正⇒下地研ぎ⇒漆の下塗りまで進んでいます。

これとは別に修理で獅子頭を三つ預かって、随時掛かっています。

 

つぎに、屋台露盤彫刻の漆塗り・箔押しのご依頼。
木地のままに見えるかもしれませんが、下地完了時です。

彫刻は屋台屋根や仏檀のようにしっかりした下地をすると彫りを埋めてしまうため
必要最小限度の下地を施し、木彫りのみずみずしさを極力生かせるように心掛けています。

いまは、漆の下塗りに入っています。

 

もう一つ、仏檀のお洗濯のご依頼も進めております。

お若い施主様でこのたびご自宅の新築に伴っての仏檀修復と伺っております。
そのご奇特なお志に沿えるようしっかり仕上げて参ります。

 

こんな状況なので日記がおろそかになっておりました。

もう夜も週末・祭日もなくやっております。
それでもこの仕事はなかなか次々とは進まないもので、滅入りそうにもなりますが
待って下さっている皆様がいらっしゃること、

そしてその皆様に少しでも喜んで頂けるように、一所懸命がんばります。