漆塗り 一般

世界遺産 姫路城菱の門 漆塗り修復 1

 

令和4年(2022年) 2月8日 ~ 5月16日。

令和4年の春、姫路城菱の門の漆塗り修復に携わらせて頂きました。建造物への漆塗りは様々な課題があることが前提ですが、それらのことにも触れながら完成までの工程をご紹介いたします。

 

初日、2月8日火曜日。

漆塗りの作業の前に錺(かざり)金具を取り外しました。
足場の中からの三の丸方面の眺め。

 

作業前。黒味は残っているものの、ツヤは完全に引いてしまっています。

 

火灯窓(かとうまど)に至っては、多くの部分が下地まで晒されていました。

 

釘を抜いていきます。80を超える父も手伝ってくれました。
ちなみに平成3年、約30年前のこの菱の門の修理では父が携わって、18歳の自分も手伝いに行ったのも懐かしい記憶です。当時の写真もどこかにあるのでまた探してみます。

 

ひとつお気づき頂きたいのが足場の位置。
こんかいの足場は漆喰修復をされる左官屋さんのための足場が設置されていました。なので漆塗りの格子上下方向のど真ん中の位置に単管と歩みが飛び出してます。それをよけながらの作業。無理な姿勢を強いられました。足元もかなり無理があります。

 

金具を外したところの拡大。レーザーカッターでシルエットを切ったかのような、はっきりとした境界線。

いつも言うように、漆は紫外線にやられます。太陽の当たるところ当たらない所で、こんなにもはっきり傷みに差が出ます。
もっと言うと紫外線が当たっていない部分はほぼ傷まない、とまで言えます。

 

こちらは空研ぎ(からとぎ)した後なので白く曇っていますが、元は上の写真のように艶やかさを保っていました。

 

ほかの文化財の例もご紹介しましょう。
こちらは高知城天守閣。7年前に訪れた折の写真ですが、こちらは北側の面。

 

南側はここまで傷んでいます。明らかに傷みの進行が違います。
晒された下地は菱の門の下地と同じ色ですね。漆を使った堅地(かたじ)で成されています。水溶性の膠地(にかわじ)ですと木地まで見えてしまうでしょう。

 

シリーズでご紹介させて頂きます。次回以降実際の漆塗り工程に入って行きます。

つづく。

 

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