漆塗り 屋台

七月

 

気が付けば七月。祭り月まで三か月です。うちはもちろん、どの職人方も秋のお納めと祭りに向けて鉢巻きを締め直される時季やと思います。

 

今朝は屋台蔵を三軒お伺いしてきました。

さいしょは妻鹿屋台蔵。例年七月の第一日曜日に『虫干し』をされています。大工棟梁を筆頭に錺(かざり)金具師・彫刻師・縫師・塗師にも招集が掛かり、各自持ち分の点検を行います。

 

到着しましたらもう大勢の皆さんが作業を始められていました。下は彫刻の大木光師。狭間彫刻の枝付け部分を中心に損傷がないか確認されていました。

ちなみに師は同い歳。職人歴は彼の方が大先輩ながら、仲良くさせて貰ってます。

祭り宵宮前夜、狭間の屋台への取り付けも私と大木師の担当なので、私も一緒に狭間裏側の固定金具類の確認。固定金具は三系統あります。

 

近況のやり取りもほどほどに、本分である漆の点検。毎回祭り本宮の晩御蔵に収まってから、ある程度は確認しているもののきっちりと再確認です。

妻鹿屋台は胴突きをされるので、荷重が集中する斗組も傷みがちです。正角彫刻も下がりがないか等、各部に目を凝らします。

 

屋台本体点検のあと、蔵の少し西方にある史料館へ移動。旧妻鹿屋台が収められているこちらの二階にある露盤彫刻を見ます。

基本的に問題なかったものの、若干動く枝があり、念のためお預かりして固定し直すことになりました。

再度蔵に戻り、久しぶりにお会いする方々としばし祭り談義など。

 

さて妻鹿の虫干しは前述のように例年梅雨真っ只中ながら、なぜか大概雨に降られません。きょうは晴れてさえいました。
降られてもパラっとの記憶。不思議です。

 

次に向かったのは飾磨、須加屋台蔵。

このたび、平成二十五年の新調完成以来初めての金具の再鍍金とのことで、金具下の漆磨きのご依頼でした。くっきりとカタがついてしまっています。

作業前後↓。

すっきり磨かせてもらいました。水切りもこっきり。

 

作業終了後、全景。笹原棟梁による独特のテリ・ムクリ。

普段見上げにくい天井格子。
中央の三階松は屋根前後の紋と同じ意匠。蝋色黒漆の地に消しの高蒔絵で施しています。

 

さいごの訪問先は今在家さん。屋根への納まり具合の微調整でお預かりしていた露盤彫刻のお納めでした。

 

完成は一昨年度。こちらも本日虫干しをされていました。

川村悟司師による見事な錺金具。昇り総才は総打ち。垂木端のサンゴによる梅鉢や、特徴的な井筒幕掛け金具にも目を惹かれます。

 

祭りに向けての準備が本格的に始まりました。体調管理に気を付けて追い込みに臨みます。