漆塗り 屋台

福泊屋台 狭間彫刻修復1

 

令和5年5月5日金曜日、国恩祭が執り行われました。

今から約200年前、天保の飢饉後の臨時大祭が始まりとされ旧印南郡の22の神社が二社ずつ、11年に一度の輪番で催行されるそうです。このたびの一社は湊神社でした。

前の週からの優れない天気予報も外れ、時折青空ものぞく中七台の屋台練りが奉納され、境内やお宮周辺は大変な賑わいでした。

その中の一台、福泊屋台は昨年来順次改修がなされていますが、私どもも漆塗りにおいて携わらせて頂いております。

直近に完成しお納めした狭間彫刻の修復について、画像にて紹介させて頂きます。

 

お預かり時。一目見た様子ではきれいに見えなくもないですが、各所に結構な傷みが進行していました。

 

塗りで松葉などの彫りも丸く埋まっています。

 

狭間は前板・中板・奥板の三枚構成。まず分解するのですが、固定が釘でされていました。釘を抜くにはその周囲の木地をどうしても傷めてしまいます。

 

すべて補修する前提で抜いていきます。

 

色んな細かい部材が欠落していました。周囲との整合性を吟味しながら木を継ぎ、彫っていきます。

 

埋まっていた松葉なども出来るだけ彫り直しました。ここの欠けも継ぎます。

 

とても良い彫りで、空間も良く空いているゆえ強度不足で粉砕しているところも全て繋ぎ、補強しました。

木地の修復だけでかなり時間を要し、一か月以上掛け丁寧に直しました。

 

その後下地補修(下地付け・研ぎ)し、漆塗りに入ります。

 

漆の下塗り、下地修正、上塗りを経て箔を施します。

金箔・プラチナ箔ともに一号色を使用。

 

福泊屋台 狭間彫刻2