先日、「きょう明日お時間ありますか。イコウがくすんでしまっていまして。」とご連絡を頂きました。とてもお急ぎのようです。
イコウ?? とにかくお伺い致しますね、と馳せ参じたところ、イコウとは着物や羽織を掛ける什器のことでした。
無垢板の箱(年代物)に丁寧に仕舞われていたのですが、前回使われてから十数年、必要となり久しぶりに開けてみると「これはまずい」となられたようです。箱の中で曇ってしまっていました。
「きれいになりそうですか?」
「きっと大丈夫です。」 ということで椿油と胡粉でいつもの磨き作業。
きれいになってくれました。
組んだ様子。喜んで頂けました。
ちなみにイコウですが、
こんな字を書きます。浅学のワタシにはこれを見せて貰ってもピンときません。で、帰ってからググってみたところ、
『衣桁』のようです。
こんな歳になってもまだ知らないことに出合います。勉強になります。
ちなみにちなみに、先ほどの後ろに映っていた襖をご覧頂きましたらお察しの通り、この建物は皇室ともゆかりがあり、それはそれは由緒のある所でした。
取っ手にも、こんなに素晴らしい錺(かざり)金具がさりげなくあしらわれていました。
中央には菊の御紋。
いろんな間を見させて頂きました。役得の眼福でございました。
淡々とした日常に不意に頂けた僥倖でした。
誠に有難うございました。