魚吹八幡神社・天満屋台漆塗箔完成画像集その1



 平成19年10月23日、
魚吹の秋祭りがおわったそのさっそく次の日に天満屋台をお預かりいたしました。

それから丸一年をかけて、露盤から泥台までの総漆塗り箔が完成しました。
この項では、その作業終了時の様子、完成画像をご紹介します。

画像が多くなるのでその2とわけます。
こちらその1では天井までをご覧下さい。


平成19年10月23日16:50、
錺金具師川村さんのお姿も見えます、搬入お預かり直後の一枚。

すべてはここからはじまりました。


屋根・勾欄泥台・全体にわけてまず作業前→作業後です。


お預かりした翌日10月24日。


平成20年9月3日、屋根鏡・昇り総才総蝋色完成。 垂木側面は朱漆塗りの下塗り。




おなじく平成19年10月24日。


平成20年9月15日、屋根・勾欄泥台引き取り当日の午前3時。



平成19年祭り昼宮朝の大平橋。


平成20年10月19日完成式。



各部詳細  屋台の上から順にパートを分けてご紹介します。

 露盤彫刻



すべて分解・洗浄後、漆塗り、金・プラチナ箔押し、彩色を
総新調しました。



 屋根

遡れば江戸時代とか明治時代という旧い天満屋台(かつては三台あったそうです)を三月に見学させていただきました。
そこに貝細工・群青彩色・垂木側面朱漆塗り等々の仕様を見て、今回の漆塗りにすこしアレンジしながらすべて取り入れました。


9月13日16:43。 垂木金具を打つ前の屋根、茅負い群青彩色もまだしていません。



ご納入当日未明、完成状態です。

整然と並ぶ垂木、丸桁(がぎょう)・隅垂木等総蝋色後の金箔施工。
旧い屋根の貝細工を、より青みと緻密さをもって再現しました
貝と裏甲の間の面にも金箔を施しています。





垂木拡大、さりげなく朱漆が覗いています。

隅垂木のすっきりと立った角や平滑な側面にもご注目ください。




桝組みも蝋色(ろいろ:磨き)後の箔押し、皿斗(さらと)は欅(けやき)の材質を活かし木目研ぎ出しの透き漆塗りとしました。

上品な色味ですこし変化をもたせることが出来ました。
はじめての試みです。






天満屋台蔵にて、9月15日12:20。
平滑に漆を塗れているからこその映りこみ、水切り・裏甲も総蝋色です。



祭り後お伺いした12月1日、貝細工と群青がよく見えます。 年代物の花岡松蔵の狭間彫刻と最新の漆塗り。



 天井


斬新な仕様が実現した格子天井ですが、この形とするまで相当悩みました。

過去の天井のように通常金箔を押す「面取り」がなく、その上で単調にならないようにするにはどうしたらいいか、
朱漆以外の色漆を使って果たして深みをもったまま明るい表現ができるか、など、
手板を数種造ってお互いを当ててみて色やテクスチャーの相性をみてみるも、やはり単なる冒険のような気がして却下、

結果、原点に戻り「黒漆・朱漆・金箔」のみを使い、その組み合わせをもって表現することにしました。

 
先代屋台の天井。平板は金属(真鍮?)の一枚板で約10`というずっしりとしたもの。
格子の朱漆と金箔が交互になっている部分が面取りです。
屋根のパートの、旧い屋台の天井も参照ください、
それにも面が見えます。



花丸と飛天は色漆による描画です。
格子側面の朱漆のトーンが違うのがわかりますでしょうか。
格子を「内」と「外」とわけて捉え、
内は下面を金箔・側面を明るい朱漆、外は下面を黒漆・側面を彩度を落とした朱漆、とし変化をもたせることができました。

















取り付けた状態。
中心に天満の紋と三つ巴、純金粉・プラチナ粉を使用。
浮き立たせるために地を黒漆塗りしています。

格子・框(かまち)・板、すべて蝋色仕上げです。


天井押さえ縁は明るい朱漆で反復、面に金、
そのさらに外の縁(押さえ縁は二重です)は黒漆で、
格調高く明るい表現ができました。





   完成画像集その2、は→こちら



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