明日は彼岸の入り、ということで1月にお預かりし漆塗り修復作業中の浄土真宗お東のお仏檀も今週末のお納めに向けて作業は大詰めを迎えています。
漆塗りののち各部品は蝋色(ろいろ:磨きツヤ上げ)や金箔であったり最終の工程を終えて組み上げに入りました。その一部をご紹介します。
こちらは須弥壇の中の彫刻です。


彫刻以外の部品も上がっています。

各所の沿いを見ながら組み上げます。
どの部材にも見えない部分に墨書きで「別」の表記が。このお仏檀はそのとおり「良いお仏檀」でした。ほとんどの仏壇がまだ温かい手造りであった時代の良さにプラスして別注の雰囲気が随所に感じられます。

組みあがった須弥壇部分。
いかがでしょうか。バランスといいますかこれ見よがしではない’良い物感’がお分かり頂けるかとおもいます。
東本願寺派は通例彫刻に彩色はされないことが多いのですが施主様のご希望もあってそのまま活かしています。もちろん埃や汚れをとった後必要なところは修正しています。

戸(扉)だけさいごまで蝋色が残っていました。
蝋色とは、塗りあがった上塗り面をまた油桐・チシャなどの木炭で研ぎ下ろし、種油と角粉(鹿の角を焼いた粉末)を手のひらに付け磨き上げることです。
上塗りは100%日本産漆を使っています。
こちらの画像は一回目の磨き。数回、磨く・漆を薄く延ばす、を繰り返します。

さいごの磨き後。水を張ったように滑らかに上がりました。
戸表(とおもて)はこんな具合に平滑にせず、真ん中を盛り上げる仕上げもあります。ご要望があればそれも致しますが頂くご依頼は「鏡みたいにしてほしい」ばかりです。
この仏檀の場合は昔のものには珍しく、そもそも盛り上げない仕様になっていましたのでそれを踏襲しました。

4枚とも上がりこのあと戸裏の金箔押しに入ります。

この花丸は天井に付いていました。

こちらも各部材が整いましたので組んでいきます。

格子と裏板。
湾曲している板を「まもり板」と呼んでいます。もともと曲がっては造っているものの、かなりきついカーブなので水を裏に塗ってさらに曲げながら、沿うように釘を打っていきます。
このとき厚紙を切り出して一緒に打ち付けます。ナットを締めるときのワッシャーみたいな役割で、釘の頭だけに力が掛からないように’面’で支えるようにするわけです。

裏板が付けば表を向け、花丸を元の位置に取り付けていきます。
この画像ではもちろん天地は逆ですが、組みあがったとき正面から見るものではなくこんな角度(斜め方向)から見えるので、正方形の各マス目の少し奥気味に付ける事でより見えやすくなるようにしています。

格子の下面(したづら)はもともと金箔でしたがここはお東でよくあるかたちの黒で仕上げました。
完全に蛇足ですが花丸は、

もちろん「プラッチック」ではありません。ひとつひとつ木彫りに彩色が施されています。
|