つれづれるままに

日記(~6/10)

2008年6月10日(火)
大台
きょうは一日職場にいました。

前線のまだまだ北側だというのに店の職場の温度計は31℃、
いよいよ刺激的な季節がやってきました。
例年をおもうとほんとうの真夏はあと7℃はいきます。
体調に気を配っていかないといけません。

2008年6月9日(月)
平成19年度祭り風景10 朝の大平橋

前回の祭り風景に続き今回ももう一パターンの年賀状に挿した画像、天満屋台です。
画像クリックで拡大します。

平成19年10月22日8:17撮影。
大平橋での練りを見させていただくのは初めてでしたが橋の上ということで
開けた空間、青空、朝日に照らされた屋台がとても印象的でした。
毎年多くの方が見に来られているのですね。

天満屋台の漆塗り作業進捗は8割を超えたぐらいです。
完成までこの大平橋でおもった気持ちを維持します。


追記、一昨日の施工後の画像をWBの合ったものに変更しました。

2008年6月8日(日)
週刊弟子通信vol.17 グラム単位

岸本です。

とあるテレビ番組の特集コーナーで“ぴったりの達人”という特集が放送されていました。
その中で、目を引いたのが一人の寿司職人。
何の達人かというと、どんなネタの握りも全て重さが25g。
トロ、エビ、軍艦巻き、何でも。ネタ自体の重さはそれぞれでまちまちなので、シャリの重さを調整しているらしいです。
実際に同じ重さのネタの握りのシャリの米粒の数をひとつずつ数えて検証してみると、
2つとも数が363粒で長さが2メートル80センチでした。
熟練の技に驚嘆いたしました。
と同時に、すこし前の隆さんと交わした会話を思い出しました。
屋台屋根四面に下地をつける時、重さを計ってすると、
四面とも一緒だとか。
こんな近くにピッタリの達人が一人。ビックリです。
わたしはペーペーでまだまだですが、いつかその域へ。

余談ですが、10日の火曜日に、親知らずを抜きます。
ちょっとブルー入ってます‥。では、また。

2008年6月7日(土)
山桜梅

ゆすらうめ。
生まれて初めて聞いた言葉でした。

きょうも日中は家屋漆施工の出仕事でした。
土曜日ということでご主人がご在宅で、
一服しいな、
とお声をかけてくださったので普段休憩などしない自分たちですが、まだ拝見したことのない庭の奥へ。

四季を通じて次々と盛りを迎えられるように植えられた数々の木々の中にそれはありました。

グミ、ですか?と伺うと
いやいやユスラウムや、食べてみ、と。
これがおいしい。
さくらんぼに似ていて果肉がもっと水気の多い感じといったところでしょうか。

最初はよく聞き取れなくて帰って調べてみました。
ゆすらうめ、梅桃とも書くそうでバラ科なんだとか。
むかしは子供が普通に捥いで食べていたそうですが
わたしにとっては貴重な体験をさせていただきました。


ぜんぶ採って持って帰り、と言って下さるので甘えて戴きました。
帰ってからこどもたちがおいしそうに食べていました、
ありがとうございました。


漆拭き作業のほうですが、きょうで9日目、
まず廊下と玄関上がり口にかかっています。

前回の柱・鴨居のように表裏があるものは、
それらが全ての空間にまたがっていることから
全体を同時に進めなければならずたいへんですが、
今回はそれぞれの天井部分。
まずここそして次、と順番に仕上げていく段取りです。
玄関上がり口はきょう仕上がりました。

玄関上がり口、施工前。木の肌のままの状態。


施工後。

前回よりあえてすこし濃い色調で、
奥行き・広がりを感じるように上に行くほど深みが出ることを狙っています。
その先の屋根裏の暗がりへと自然なつながりをもてるように。

(カメラのホワイトバランスの設定ミスで二枚の彩度が合っていません。)

6/9、同じWBの画像に変更しました。

2008年6月6日(金)
再会、つづき

すこし変わっていたわたしの少年時代。

通っていた小学校には4年生からなんとかクラブとかいう課外授業があった。
ある日先生からプリントを配られ、
この中からひとつやってみたいクラブを選びなさい、と。
どんなものがあったかほとんど覚えていないが
4年のとき選んだのは「手作りおもちゃ部」。
その部にしたのはクラスにひとり。
してみたいクラブはそれしかなかったのであまり気にせずにドキドキどんなことをするのか初日をたのしみにしていた。

果たして念願のそのクラブの日、
4,5,6年生が対象のクラブのはずなのに集合場所の教室には10人ほどの生徒がまばらに座っていた。
あきらかに不人気クラブだった。

カメラにもすこし興味を持った。
手作りおもちゃ部がおもったようなものを造る内容ではなくがっかりだったのもあって5年生で写真部を選んだ。
また少数派だった。

そんな折、コダックからディスクカメラとやらがお目見えした。
平面のフィルムが放射状に15枚並べられたその仕組み、
その夢のような未来を感じさせる斬新さにまた興奮した。
お年玉を貯めて買おうと誓った。
カメラに詳しかった父からあんなもんまともに撮れる筈がないと一蹴され、それは実現はしなかったがいまおもえば良かった。
後からわかったのだが指摘はそのとおりだったようで、
画質が悪い、現像もプリントも割高等の理由で物自体は数年で製造中止、
それが肝のフィルムも造られなくなったそうで、
世紀の失敗プロダクトだったようだ。


家では兄が自転車に興味を持ち始めた。
デコトラのような方向指示器が付いているようなノリの自転車が過去のものになりつつあり、次は「ドロップハンドル」だった。

丸石・ナショナル・ツノダ・ミヤタ・アラヤ等々、カタログがわんさ。
いまもこのカテゴリーがあるのだろうか、兄は一台の「ランドナー」を選んだ。
わたしは兄が絶対に帰ってこない日を見計らって足の届かないそれに無断で乗ってまた興奮していた。

兄はその後、中三でそのランドナーで横浜に行くなどの偉業を終え「ロードレーサー」に向かった。
時代はすこし下りわたしが高校一年のとき。
兄のすることをいつも後追いしていたわたしはこれまた数年遅れで入学祝とかをかき集めなんとかお金を工面して「ロードレーサー」を買った。正確には専門店でフレーム・ホイール・サドル・メカ等を指定して組んでもらった。
人生初の自分で買った憧れのマシーン。
二階の和室が自分の部屋になっていた当時、
まいにち狭い階段を運び上げ枕元に置いていた。
とても大好きで大事にしたが半年ほどであるとき忽然と盗まれた。


再会、

先週の木曜日、
その忘れられるはずもない青春の愛馬、(と限りなく近い個体)に道すがら出会った。

鮮やかなブルーメタリックのフレームには黄色で「ZUNOW」、フォークはクロームメッキ、
メカはシマノの700EX(だったか)、サドルはサンマルコ、
ハンドルはバータイプだったがほかの内容があまりにも同じ。
盗られた場所からそう離れていない。


見た瞬間、わかった。
というよりその自転車の50メートルくらい手前からなにか胸騒ぎがした。

手元から離れて20年。
乗っていた人が盗った人だなんて決していえない。

その人の「選択」が偶然一緒だったんだろう、とおもいたい。
再会、ではなく遭遇だったとおもいたい。
いずれにせよ20年の時を隔ててわたしにあの頃の気恥ずかしく甘い青い感覚を呼び起こさせてくれる出来事だった。
過去の引き出しがすごい勢いで開いた。


過去の自分に、再会していた。


だれしもある過去の記憶。
その人しか知らない記憶。
そのほとんどはだれにも伝えられずそのきっかけもなく自分だけのものとして心に在り続けるのだ、とあらためて気付きおもった。

語られる過去、
語られない過去、
歩いてきたすべての過去が自分をつくっている。

日々の生活で意識することはないが、
自分を支え、立たせ、未だ来ぬ日へ向かわせる。





5/29「再会」のつづきです。

2008年6月5日(木)
彩色

一昨日の記事、「生漆」の追記です。

漆に始まり、漆に終わる。 と書きました。
またTOPページにも
当店は漆以外の塗料は使用しておりません。
と表記しています。

ですが、
彩色(さいしき)には漆の場合と、岩絵具や顔料をつかう場合とがあります。

漆以外の塗料は使用しません。
カシュー塗料やウレタン・ラッカーの使用、
また吹き付け塗装や吹き付けのスプレー下地・パテ下地は一切行っておりません。

これは「塗り」のことを指しています。

昨今のさまざまな業界の偽装問題を考えるとあらためて記すべきとおもいました。
彩色は「塗り」ではありません。「色付け」です。

お叱りを頂戴したことはありませんが説明不足でした。
申し訳ありません。



修理前の天満屋台露盤彫刻。
すべて分解し傷みを補修、
現在は漆塗りののち箔押し(金箔・プラチナ箔)まで完了しています。

2008年6月4日(水)
お仏具納入

長くお預かりし漆塗り・金箔の修復作業を進めておりました
西源寺様のお仏具が完成し、先日お納めさせていただきました。










割れなどの傷みを直し漆の下塗り・上塗り、
その後研ぎ下ろし、漆を何度も摺り上げてから
一号色金箔施工です。
ぼんやりと映りこむ半つや消しのような仕上げです。

経机と脇机の天板は旧い下地を総剥離し、布着せからやり直しました。

金具は金メッキをしなおしたあと丹をさしています。

御寄進元の檀家様、西源寺様、
誠にありがとうございました。

さらにお預かりしているほかのお仏具は順次作業を進めてまいります。

2008年6月3日(火)
生漆

当店の漆塗りの下地は堅地を使っています。
それは精製するまえの漆(生漆)と地の粉・砥の粉を使う場面に応じて内容を変えながら練り合わせてつくります。

通例仏壇の塗りの下地は、
手造りの漆塗り仏壇(現在ではすでにその時点でかなりの少数派)で、さらに
「天然材料を使用」、と謳う例でも膠(にかわ)の下地です。
膠は水溶性なので仏壇の内側で
たとえばお参りの際、花立の水をこぼしたりしますと、
小さな傷があればそこから水がしみ込み傷みを招きます。
水をこぼさなくとも、長年お祀りするあいだに
湿気の多いわが国ですから下地がもろく浮き上がってきます。
そんな例はたびたび見ております。

当店ではすべて堅地、漆の下地を使います。

漆は一度固化すると水に溶けません。
堅牢です。

堅地を使う塗り物の有名な例は輪島塗りです。
輪島塗りは地産の珪藻土を生漆と練り合わせます。
その珪藻土は手に入らないので使えませんが、
いわば下地の論理はその輪島塗りと同じです。

仏檀・仏具、
漆塗り工芸品、
神輿・屋台をはじめとする祭礼具。
当店では下地から上塗りまですべて漆です。
材料費、時間、手間は何倍もかかります。


画像はその生漆(きうるし)。
乳白色が、空気に触れたはなから変化し色づき始めます。
ヘラの先と根元側をご覧下さい。
すべてはこの生漆からはじまります。
そして屋台の漆塗りで言うと80~90工程目、
最終工程、「蝋色」という磨き艶出し工程でまた上等の生漆が登場します。


漆に始まり、漆に終わる。
一軒ぐらいそんな店があってもいい。
いえそんな店だから続けたい。

これからもずっと。


気持ちはそう。
でも、結果はまだ自分でぜんぜん納得できていません。
漆の良さをまだ邪魔してしまっている。

まだ先がある漆の力を最大限に引き出せるように努力します。

毎日まじめに。


2008年6月2日(月)
向かっています

姫路城周辺に屋台が集結するイベント、
祭り屋台
in姫路がおわりました。
わたしは日程延期で別件があり見に行くことができませんでした。

練り子として参加された方のお話しでは、
なかなかいい練りができた、と笑顔でした。
このたび屋台新調なさった二村がとても元気だったとか。
幸先の良いことでおめでとうございます。

画像は大手前通りに向かう国道二号線でのもの。
トレーラーに積まれての入場です。





2008年6月1日(日)
週刊弟子通信vol.16 in 姫路

岸本です。

新婚旅行から無事帰りまして、
先週の金曜日から仕事に復帰いたしました。
復帰初日は、悪天候で本日に延期になった『祭り屋台in姫路』の屋根磨き。
玉手、井ノ口、西庄、町坪の順にまわりました。
土曜日の店での仕事をはさみまして、
前日の天気が嘘みたいな晴天で迎えた本日の日曜日。イベント本番。
8町の屋台が素晴らしい練りを披露する華やかさと、
年々増しているような気がするバリケード・警備員の数に物々しさを感じながら、
わたしも裏方として参加いたしました。

来年から4年間、平成の大修理で姫路城が完全に囲いで覆われるため、このイベントもしばらく見納め(?)です。
毎年たくさんの方が訪れる盛況なイベントのひとつだったんですが、世界文化遺産保護のため、こればかりは仕方ありません。

姫路城の大修理。
4年間、城の姿は全く見れないのかと思っていたら、
囲いの中に見学室が設置されるみたいですね。
地上30メートルの位置にエレベーターで上がってガラス越しに作業風景を見学できるとか。
漆の作業はないのでしょうか?気になります。
来年から見慣れた姫路城の違った一面が見れるのも楽しみです。