甲八幡宮・細野屋台
 豊富甲八幡宮の細野の屋台です。細野は甲八幡宮に集まる屋台のなかで東の端に位置し戸数も60軒あまりと聞きます。しかしながら屋台は2尺8寸という立派なものです。屋根の重量はそのサイズながらかなり軽いものでした。
製作は毛利工務店さんです。

  
 ムロで乾かしている露盤本体。露盤の枝も下塗り後の写真。幣額の文字も見えます。

  
桝組(ますぐみ)・露盤の枝の箔押し。小桝は2段垂木の例に漏れず48個。



  
中塗り→上塗りと進む屋根。肩が張り中央部分がかなりくぼんだ形でしたので通常より下地作業に時間を要しました。


    
露盤彫刻の彩色。枝の組み付け。


 
もちろん高欄も堅地(漆の下地)。塗りあがりでもとの寸法になるようにあらかじめ削っています。
 
 大詰め、蝋色作業。角粉(つのこ)をつかい手で磨き上げます。左の写真の手前に見えている垂木は先に完成し納入した白浜・中村屋台。
右の写真では高欄の台部分を磨いています。屋根は蝋色ののち垂木の底・茅負(かやおい)の金箔押しがおわっています。
 台も蝋色終了。


 
四本柱。手前が細野、奥の全面塗りが中村です。細野の方が長いです。白浜の松原八幡宮は楼門をくぐるため長く出来ません。露盤をはずし門をくぐるところをご覧になったことがある方はおわかりでしょうがほんとうに門ぎりぎりの高さです。総才の羽根の金物が当たりそうなぐらいです。甲八幡宮は楼門をくぐることが無いので長く出来るのでしょう。村によっては播但道の下をくぐりますが。細野はくぐります。

井筒も国産透き漆蝋色塗りをほどこし組立て。

組まれた桝組と正隅彫刻。

  
最終、天井板を組み付けたのち、垂木の金物を打ちます。右の写真は竹内かざり金具の皆さん。

 完成し9月23日に納入しました。


搬出直前の写真。(後ろに見える露盤は東山と妻鹿のものです) 


 
 丸桁(がぎょう)に垂木が映っています。丸桁も蝋色のうえに金箔。



巨大な妻鹿の露盤。


 
 格天井(ごうてんじょう)はつや消し黒漆塗り。なかに天井板が井筒の間から出し入れできない屋根があります。その場合は組み付けが煩雑になるのですが細野屋台は入れることが出来ました。  肱木(ひじき)のこまかな彫り。堅地を盛り上げる部分なので手がかかります。
 
裏甲(うらごう)水切(みずきり)総才(そうさい)も蝋色塗り。↑↓  総才の肩の部分も蝋色塗りです。
ここまでして「総蝋色塗り」といえます。











 細野の皆様、ありがとうございました。

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