つれづれるままに

日記の部屋 (最新)
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2015年2月24日(火)
カレンダー

 2月ですね。すぐ3月。

 年末はカレンダープレゼントに多数のご応募を頂いてありがとうございました。

 こんかいは要項に、何かご意見も添えて、とは記しておかなかったものの、それでも何か書いて下さる方がいらっしゃって、うれしかったです。書かなければいけないから書いて下さったんじゃなく、本当にお気持ちを下さったんだなぁと、心を温められることでございました。そんなことが沁みる年の瀬でございました。



 考えますに、そんなみなさまにうちのような小さな店は支えられております。

 わたしが感じた気持ちを少しでもみなさんにも感じて頂けるような私どもでありたいと常に思っております。
 これからも宜しくお願い申し上げます。




 さて、頂いたメッセージの中で、作業を進めている屋台の進捗をもっと掲載してほしいとのお声を多数いただきました。これに関しては中々難しいところもございます。

 そもそも、村の宝とされているものでございます。直接その村の方から「載せてよ!」というお声が無い限り基本大きく取り上げることが出来ません。何卒ご了承くださいませ。


 作業は継続可能なペースで毎日精一杯がんばっております。もうすこしチカラを出して、なにかしらこのサイトの更新もがんばります。




2014年10月3日(金)
駆け出しの頃

 いよいよ祭り月です。
 うちではまさに明日から本格的に屋台蔵での漆手入れお伺いが始まります。


 おもえば20年前、駆け出しのころはまあ本当にこの磨きというものが出来なくて、いつも父に尻拭いをしてもらってました。途中までは光らせることが出来るのですが、汗をかき出すと一転白く曇り始めるのです。それを毎度何事もなく父はスーーっと撫でる、すると真っ黒ピカピカに。

 それが悔しくて悔しくて。まあなんて自分は未熟なんや、と。半人前もなってない、そして、こんなん出来るようになるんかいなと不安でした。父はそんな私に、そんなんそのうち出来るようなるわ、とだけ。


 何年目か、確か5年目くらいにとある御蔵を父に任されまして一人で行きました。行く前からドキドキ、自分で最後まで責任もって仕上げんと帰られへん、めちゃ時間掛かって迷惑を掛けてしまったらどうしよう、、色々頭を巡ります。

 なんとか冷静に、気持ちを落ち着かせようと必死でした。焦り出すとその字の通り『汗る』、光りません。


 普通は一時間ほどで仕上がります。それがやはり三面目くらいから汗をかき始めてしまいました。一時間半、二時間、、、。

 村の方が気づかれて声を掛けて下さいます。
「今回はえらい丁寧にしてくれよってんやな〜〜」

 もちろん違うのですが、
「ハイ、なんかよう汚れてまして、。」
なんてごまかして、、ました。

 その方にはいつもより時間を頂いて申し訳なかったですが、今となっては青く甘酸っぱい思い出です。



 さああすスタート。
10月23日まで二十日間で約100台。

 頑張ってまいります!
 皆様宜しくお願い申し上げます!!



 画像は先月下旬、お披露目前日に磨かせて頂いた廣畑小松西屋台(旧小坂屋台)です。

あとから関係者の方が教えて下さいました。
「えらいきれなっとうやん。塗り直したん??、言われたワ」と。

 うれしいです。職人冥利に尽きます。







 こちらは、屋台文化保存連絡会、通称ヤホレンのご依頼の教材屋台。御蔵周りまでに仕上げるはずが何かと忙しくさせて頂き、遅れてしまっています。

 現在まだ下地8割ぐらい。


 塗り二面と、


 一面は白木のまま残し、もう一面は半面を内部が見えるように野地板無し、残り半面を漆塗りの工程を再現してほしいとのこと。

 手間が掛かりますがお役にたてれば、とコツコツがんばります。



2014年9月24日(水)
納品

 先週末、宮脇の露盤彫刻の納品があり、手掛けた山下継浩師と一緒に赴きました。


 完成して二年目なので塗師のわたしはまだ何も手を動かしていませんが、現地で村の皆様のお喜びの笑顔を見させて頂いているとこちらまで温かい嬉しい気持ちになりました。

 皆さんで、感心されながらなんどかんど言うてはる、こんなゆったりしたひとときはとても良いもので時間が経つのを忘れます。




 さて、題材は四神です。
 昨年来数度の打ち合わせを以て、村の方の御意向を伺いながら各面の詳細を詰めていかれました。

 抑揚が効き、繊細さと大胆さが程よくバランスした素晴らしい彫りでした。

 この白虎は奈良時代のキトラ古墳の壁画を参考にされたとのこと、

 たしかに巧みに表現されています。好きです。




 こちらは屋台本体を造り上げられた塩見棟梁。次年度に向け狭間彫刻の木取りのための寸法確認中。



 彼が山下師。余談ですが高校の6つ下の後輩でもあります。お披露目のあとなので皆さんに喜んで頂いたということで心も晴れ晴れ、それがお顔、良い笑顔に出とってです。


 多くの人の想いが結集し、ご縁の繋がりを得て屋台も出来上がると改めて感じた夜でした。

 この秋の祭りが終われば次は塗師である我々の出番です。いまの砂川の精一杯で臨みたいと思っております。

 宮脇の皆様どうぞ宜しくお願い申し上げます。




2014年9月16日(火)
技・職人展 mini 2014 その4 (おわり)

 一日目の夕方最終、錺金具制作体験で来て頂いていた谷口師に教わりながらキティちゃんのようなものを造りました。

 意外だったのは膨らみは膨らませたいところを裏から叩くのではないということ。この作例ではキティちゃんの顔の部分を裏から叩きだして造るのかと思っていましたがさに非ず。

 ではどういう動きかと言いますと、キティちゃんの輪郭を順番にタガネで叩いてスジを付けていくと、おおまかにV字になります。そのV字の外側周辺部分を水平に戻すことによって相対的に輪郭の内側が膨れてくるという仕組みです。お分かり頂けるでしょうか。私は目からウロコでした。

 もちろん実際の祭りの錺金具は打ち出しておられるとおもいますし、別の錺金具師の方はそうおっしゃっていました。
単純にお子さん向けの場合はだとおもいます。いずれにしても輪郭を叩くことのひずみだけでこんなにも膨らませられるとは驚きました。

 このキティちゃんのようなものはすぐ後に控えていた誕生日を迎える娘にプレゼントしました(^ ^) そこそこ喜んでくれました。

 谷口さんありがとうございました。





 そんなこんなで初日を無事終え、撤収です。

 こんかいは大手前公園でのイベントで会場はテント。夜間の安全を考えて屋台の屋根以外を一旦持ち帰りました。協力くださった方々からお預かりした大事なものばかりですので当然です。

 21時くらいには全てうちの職場に運び入れ、それからみんなで労いの一杯、そののち銭湯に行き汗を流し。

 なんだかもう20年も前の学生時代を思い出すような夜でした。





 2日目。
 朝、たしか6時起きで、また設営です。ウチに泊まった永田君とうちからプラプラ歩いて職場に行くと荒川の肥塚くんがもう来てくれてました。

 この肥塚くんとは知り合って3年くらいでしょうか。
あるとき紹介でうちの店にふらっと来てくれてそれ以来気が合って時々絡んでくれます。村の祭りでは棒端(ぼうばな)を務めているそうです。

 普段はとても温厚で穏やかで気配りの選手権があったら覇者みたいな青年ですが、きっとスイッチが入ると勇壮な祭り男になられるんでしょうね。

 この日は地元のソフトボールの試合があるとのことで、朝の搬入設営だけでも行きます、とわざわざ手伝いに来てくれました。感謝感謝です。




 初日箱に入れたまま見て頂いていた狭間彫刻も、この日は体験コーナーが無いので、畳スペースの奥で箱から出して展示させて頂きました。


 その手前に置かせて頂いたのは三代目松本義廣師作の神額です。


 これはある会社さん内のお稲荷さんの鳥居に掲げられていたものを、そのご家族が大切に保管されていたものです。


 裏に銘もあります。



 さすがに名工と名を馳せた師の作品です。




これだけの奥の深い彫りとそれぞれの線の綺麗さはずっと見ていたくなります。
 ちなみに枝付け無しの丸彫りです。


 その持ち主であられた方自筆の由緒書きとともに。

 当日はじっくりご覧頂きました。




 さて、あとまわしになって初日は手書きだった当店からの展示屋台屋根もようやく小ましなボードを付けました。

 趣味で漆を塗っていると仰せの方が偶然いらっしゃいまして、色々と感心下さいました。実際に塗られているからこその質問や確認に少しシャキっとしながら有意義な時間を頂戴しました。


 この日は日曜日ということもあり、また多くの方が来て下さいました。

 両日来て下さる方もあって嬉しかったです。


 が、お昼くらいから雨が落ち初めまして、傘をさす方が徐々に増えていき、



 そのあと警報が出てしまうほどの豪雨。

 地面は水が溜まったまま捌けません。
風も出てきて、軒先の展示品に吹き降ってきました。

 本部の判断もあり、15時半くらいでしたか、イベント全体が中止となってしまいました。尻切れトンボのままやむなく撤収です。


 その頃肥塚くんが朝に続いて片付けの手伝いに来てくれました。程なくしてウチの岸本が参戦。

 17時前。身はかなりびしゃびしゃになりながらも、工芸品は濡らさずに車に避難完了。あとは装飾を外すのみ。大活躍の壁撤去中。



 18時、なんとか畳以外積み込み完了です。慌ただしくも楽しい二日間が終わってしまいました。

手伝ってくれた永田君、中谷君、肥塚君、本当に有難うございました。

 ビールケースは畳スペースの台座です念のため(^ ^;)




 第二便搬出時。平成の修復後に初めて城と写った屋台、
なんて言いながらパチリ。



 店に帰ってきて担ぎ入れ、ようやく安堵の図。



 翌月曜日、雨もやんだので畳を撤収です。
事業をすれば毎度のことの何と物悲しい光景。
祭りのあと、ですね。






 いろんな方の協力を頂いて実現できた二日間でした。
ご来場下さった多くの皆様にも厚く御礼申し上げます。


 今後も、規模の大小にかかわらず、またいつか同じ様な集まりが出来たらなと思っています。


 風土豊か、地政学上のそして交通の要衝、だからこその城下町。その城下町姫路ならではのものづくり文化の裾野の広さを、職人互いが連携して発信していく事で大きな力になっていければな、と思っております。

 今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。



 追伸、

 総才端のカタチそのままに漆にカブレた永田君の腕。
 漆は天然材料です ^_^;



2014年9月10日(水)
技・職人展 mini 2014 その3

 無事屋根の搬入展示も整いました。

 よく尋ねられます、ウチの職場にどうやって屋根を入れているのか。これはご想像の通り人手です。

完成した屋根は差はあるものの、重いものでは300キロ近くある場合もあります。ですので村の方にも来て頂いて、余裕を見て10人くらいで囲んでもらって前の道まで出します。


 この日は斗組・井筒が付いていない、本来の納品の折りとは違う形でしたが、それでも6人でなんとかギリギリの重さでした。




 さあようやく開始。

 ぞくぞくと見に来て下さいます。

 元々知って来て下さる方々と、そしてそこは地の利、お城に観光に来られたお客さんがイベントっぽさに大手前公園に足を寄せてくださった方々。

 半半の印象でした。


 皆さん一様に感心して見て下さってました。そこに少し説明を添えさせて頂くと、なおのこと喜んでくださいました。祭りの馴染みのない方々にも興味を持ってご覧頂けたようでうれしかったです。

 錺金具であれ彫刻であれ縫い物であれ、やはり想いを込めて技を凝らして出来上がったものは伝わるチカラがあります。

 ものづくりは、目当てがお金ではなく喜んで頂くこと。

 その原点をしみじみ感じながら一期一会のやりとりを楽しく過ごさせて頂きました。





 畳の一角では谷口秀作師が錺金具体験をしてくださいました。



 さいしょ恐る恐るの手つきも、時間を追ってノッてきて、聞こえる金槌の音も自ずとリズミカルに弾みます。

 谷口さんは、本当に素晴らしいお人で、ことしも祭りものの金具制作を受けられ時節柄大変お忙しい中にもかかわらず、笑顔で今回の件を受けて下さいました。二年前の事業のときもそうでしたが、師の制作体験をされた方々は子供さんも含め、みなさんとても笑顔にならはります。

 きっとあたたかさが伝わってるのでしょうね。
わたしも、直接の言葉ではないですが、普段の在られ方や行動から、谷口さんには色々と教えて頂いております。
いつもいつもありがとうございます。




 さて、体験コーナーは二つご用意しておりました。
一つはその錺金具制作体験。もう一つが漆塗り職人体験でした。

 今回展示した屋台の屋根は昭和50年代に実際に祭りで練られていたもので、このたび四面中二面の漆を塗り直しています。その新しい塗りの二面のうち一面を正味の完成まで仕上げ、もう一面を完成直前、完成のひとつ前の工程で止めた状態でこの日を迎えました。

 つまり『漆磨き体験』をして頂こうと。




 これは蝋色(ろいろ)と呼ばれるものです。

 漆には『塗り立て』という仕上げ方があります。立て塗りや花塗り、とも言います。これは上塗りを塗って、そのままを最終とする仕上げ方。いわば塗りっぱなしで最終。

 これに対し、蝋色は最終の上塗りの塗面を炭で研ぎ下ろし、面を据わらせ(整え)、より鏡面に仕上げる技法です。


 詳しく書きますと、塗り面を一旦全部油桐やチシャという炭で研ぎおろし、そこに漆を再び薄く薄く延ばします。研ぎ下ろした漆の面に新たな漆を染みこませるようなイメージです。

そしてきっちりとその薄く延ばした漆が乾いたのち、角粉(つのこ)という磨き粉と菜種油を手のひらや指に付け、素手で磨き上げます。すると鏡面が出来上がります。

 
蝋色仕上げの漆面
(屋台 昇り総才)

 (自撮り恐縮ですが、)ご覧のようにすっきりときれいに映り込むくらい鏡面に仕上がります。


 この磨き上げる直前がこちらの曇っている部分です。

 この曇っている状態から鏡面にする、という体験の企画だったんですが結果からいうと空振り。

 真夏の暑い盛りにチカラの要る作業でして、そもそもお子さんには少々キツかったというのと、明らかにこちら側の人数不足で、掛かりっきりになれる態勢ではありませんでした。

 また次の機会があれば今回のことを活かし、実現したいと思っています。




 さて少しお目汚し、、

 ここに至る4日ほどまともに眠れてなかったので、少し落ち着いたとき、一緒にしてくれている仲間にブースを託し、ちょっとだけ背中を伸ばすつもりが、、ナルコレプシーのように落ちてしまいました。
もちろんバックヤードですよ。ご容赦を。



 そしたらスタッフで汚れ落としのほうの磨き体験が始まっていました。

 これは先ほどの蝋色とは違い、単に漆の上に被った汚れを落とす磨きです。毎年屋台蔵にお伺いししている作業はこちらです。この場合は使う材料も違います。

 塗り直さなかった二面をゴシゴシしています。
紋木の左上の一角が黒光りしているのが分かりますでしょうか?

 何人かの方には同じように触って頂くことができました。




 そんな一日目の撤収中、英語でのお声掛けを頂きました。

 軒先のガラスでできた風鈴を指しながら、
「コレ売り物ですか? いくら?」と。

以下やりとり。

「違うんです、飾ってるだけなんです。」
「そっか、。」
「ちょっと待ってくださいね。」
持ち主に聞く。
「いいですよ、これ差し上げます。」
「え、いいんですか?」
「ハイ、彼がプレゼントしますって言ってます。」
「ありがとうございます。とてもうれしい」
「記念に写真撮らせてもらっていいですか?」

 の一枚。

 イスラエルからの方でした。飾ってくれてた生野の永田君。


そのあともしばし国際交流。

suimasenってどういう意味? ありがとうとごめんなさいって両方の意味ですよ、そっか日本人はよく言いますよね。
みたいな。

 あとmasu !! って何?って聞かれました。
「マス??」

 しばらく言うてる意味が全然分からなかったのですが、よくよく聞いてるとお店なんかで帰り際に「マス!」言うじゃん、ってなって、あぁ、と。

ありがとうございます!の「マス!」。 


Thank you very much ! の最後部分だけ発音が大きくなってそう聞こえるんですよ、って言ってあげたらにっこり笑顔に。正しくは ざいます!ですよって言うと
「ザイマァス! ザイマァス!!」って繰り返してましたww


 英会話は出来ませんが英語もどきの知ってるワードを並べててもなんとかなるもんです(^ ^)

 良い思い出の一つになってたらいいのにな〜



 なんて言ってたら、




ステージ上のジャズの音楽が少し熱の収まった空気に響きながら、夜は帳を下ろしていきました。


 続く



2014年9月4日(木)
技・職人展 mini 2014 その2


 中谷君の軽い手捌きもあって、次々と出来上がる簡易壁。本職が鉄関係の職人である彼は、やはり手を動かすことが上手。すぐ要領を得て精度もどんどん上がる。さすが。


 けれど残った作業はそれだけではありませんでした。ブースでの装飾関連の印刷物がこの前日夜の段階でほぼ皆無。

壁は鉄職人に任せ(m(_ _)m)、急いでそのあたりを依頼していたデザイナーのもとへ。もう21時前。

 、のつもりが。

 そうでした。個人の方からお借り受けする工芸品がまだでした。貴重なものなので直前にお預かりさせてください、とお伝えしていたのでした。

なのでデザイナーをさらに待たせ、少し距離のあるその持ち主のもとへ。


 21:30。
 貴重な三点をお借りしました。

三代目松本義廣 作 『村上義光 錦の御旗奪還』



長谷川義秀 作 『佐久間玄蕃 太閤本陣乗込の場』



絹常 『桶狭間の合戦』
こちらは昭和一桁代に造られたものとのことで、傷みはもちろん各所に見られるものの、色使いや人物の表情、各部の細密な表現など、とても見応えがあります。
衣裳については私素人同然ですが、そんな私も見ていて飽きませんでした。


 丁重にワンボックスに積み込み、再び姫路へ。ようやくデザイナーのもとへ。


 こちらに到着は22時でした。

 姫路市市川台で『Design SIDE』を経営されてる甲本さん。

 元々こどもの幼稚園役員同士ということで知り合い、すぐあとに姫路青年会議所に誘い彼も入会。二年前の文学館の事業でポスターや当日パンフレット、会場内外の装飾を一手に制作してくれました。
 はっきり言ってやり手です。

 プランを伝え画像やデータを揃えると即座に形にしてくれ、修正の希望もすぐに意を汲んでくれます。


 これがその装飾材料の一部。ちなみに場面紹介のボードの龍の絵は大木光師の彫刻の下絵です。

 こういうものをしっかり用意すると、展示させて頂く逸品がさらにぐっと良く見えます。逆にここがおろそかだとサラっと見られますし、お借りしてきた皆さんに対しても失礼だと思っています。

あと、長い時間その対象を見て頂く手引きになります。



 それらの意味で、氏は素晴らしい才能の持ち主です。
ちなみに、あんたんとこのHPのリンク貼らせてよ、と言うと忙しすぎて自社のサイトはまだ無いとのこと。
独立二年目にしてコレ。末恐ろしいやつです。



 すったもんだしたあと、日付が変わる頃にすべて完成。そちらの事務所を後にし、職場へ。
備品最終チェックをし帰宅就寝。


 あくる朝7時集合の予定。

 いまさらですが、今回の事業は、祭りが好きで仲良くなった仲間が集まってのことでした。

青い壁を造ってくれていた中谷君、荒川の肥塚くん、そして生野二区の永田くんです。



 皆な揃って、これまた二年前の折りも会場準備初日に工芸品搬入を手伝ってくれたメンバーです。

 その生野の永田君はなんと5時過ぎに生野を出発してくれていました。

 さすが高地、霧がかかっています。

 そしてもちろん7時より早く到着してくれていて、うちの母の「どんな段取りなっとん!!」という早朝の電話怒号で目がシャキッとした私でした。もちろん起きていましたが私以外が全員先に職場に集合完了していたカタチです。
41歳でも怒鳴られます、。




 さあ搬出搬入。
 こんかいはテント一張りのみのスペースなのでクルマ三台に一度に全て積み込むことが出来ました。

 7時半には会場である大手前公園に到着。朝飯など食べる暇なくすぐに設営開始です。


 まずは畳スペース。材料は酒屋さんから借りたビールケース10個と、コンパネ2枚。あとはウチの和室からひっぺ返して持ちだした畳二枚。ほぼ無料。
ビールケースを隠すのに例の青い布をサラリと垂らして完成。


 そして簡易の壁をテントの梁に針金でぶら下げていきます。

 するとどうでしょう。



 設営前。前日、ヤバイなァ、、ボーー然としたときの写真。



 ほぼ完了後。


 なんとか工芸品が映えるようになりました。
前述の甲本氏デザインの幕等ももちろんキラリ、花を添えてくれてます。

 これで来て下さった皆様をお迎えできる最低限の格好が付きました。


 さいごに私どもで漆塗りをさせて頂いたかつての祭り屋台の屋根を搬入し、




 設営完了です。




 イベントの公式なスタートが10時。

 並べたり整えたりするさなかにも沢山の知り合いの方や普段のお客さんが来て下さり、10時なんて全然で、本当は全部配置し落ち着けたのはお昼でした。


 ようやくスタートです☆


 まだまだ続く (いつものパターン、、)


2014年9月1日(月)
技・職人展 mini 2014 その1 

 8/23・24の土日、姫路のお城の真ん前、大手前公園にて開催されましたイベントにブース出展をさせて頂きました。

思えば二年前、2012年に姫路文学館にて、姫路を中心とする播磨のあらゆる職人約40名の皆様に集まって頂き、地域の魅力として大きな発信をさせて頂いた『姫路ええやん 技・職人展』。職人の家に生まれ、斯業に向き合うことのみの毎日の中、人との関わり、社会との関わり、頂いているお力やご恩に気づかされた、私にとって大きな転機でもありました。

その時の経験を活かして、今回は小規模ながらまた社会貢献活動として取り組みをさせて頂きました。



 今回ご協力のお声掛けをさせて頂いた職人方は主に錺金具師の皆様。

こちらは昨年独立された藤本博師。


ほかには二年前にも来て頂いた谷口秀作師、



姫路市土山で職場を構え、目下八家屋台の金具制作でお忙しの北角和久師。




ほか展示部分において川村刺繍さんにもご協力頂き、川村さん所蔵の年代物の衣裳をお借りしました。加えて、個人の方から古い狭間彫刻や幕等をお借りしました。

 今回は屋外のイベントでしたので、展示スペースもテント一張りのみ。ということで上記の内容でブースは目一杯のボリュームで埋まりました。


 その折の様子を裏方も含め、久々のこの日記ページでご紹介致します。





 こちらはさきの藤本師が展示下さっただんじりの錺金具です。


 はっきりした画像は掲載することが出来ませんが、それは見応えのある逸品でした。そのお人柄と生来の丁寧さが滲み出ていました。

イベント当日も多くの方が食い入るようにご覧になられていました。多くが祭り好きの方とお見受けしましたが、よそから来られた観光客の方も、一枚の銅板からタガネと金槌で叩きだして造られているんですよと一言添えさせてもらいましたら、なんと、ほぉーー、すごいすごいと感心されていました。





 そんな当日の一日前に遡ります。

 22日の金曜夕方に会場である大手前公園に第一陣の荷物を搬入に行って目が点。

テントだということは百も承知だったんですが、そのテントの具合がきつかった。もちろん白い普通のテントだったんですが薄汚れていて、テント地の梁に止める数十本の紐もほつれたりちぎれたり、、

運動会や球技大会に使う分には何の問題もないのでしょうが、とてもとても工芸品を展示する環境ではありませんでした。



 しばしボーっとテントの様子を近づいたり遠ざかったりしながら眺めること5分ほど。よし、改造しよう、と即座にその場を離れ材料集めに向かいました。時すでに前日の17時。

 プランはというとやはり二年前の技・職人展。
あのとき文学館の二階、展示フロアの陳列棚に青い布を敷いたり掛けたりして工芸品を際立たせた手法を再現することにしました。

ただ今回の相手はテントなので布だけぶら下げてもふわふわゆらゆらしてしまって、なんともならないので、素地としてベニヤを用い、簡易の壁を設えることにしました。

急いで向かったのはホームセンター。こんなとき便利です。

1800×900、4mm厚のベニヤ板を買い込みまして、実は必要と目論んでいた枚数ちょうどの在庫で肝を冷やしましたが、なんとか確保。


 つぎに急いだのが手芸材料を扱うお店、姫路市白銀町の『ボタンヤ』さん。
うちは塗師屋ですが獅子関係で結構布の用事も少なくなく、いつもお世話になっています。毎度の無理な注文も快く聞いて下さいます。この日も大量の青の布地を豊富な在庫に助けられ、その場で購入することが出来ました。ちなみにご主人の一孝さんは超イケメンです。



 でさっそく職場に帰り作業開始。
先ほどのホームセンターでタッカーなるものも入手し、これは強力ホッチキスみたいなものでして、布をバシバシベニヤに打っていく算用。

 
このたびの協力者の一人、中谷君。
亀山の祭り好きです。


 タッカーは500円もしない安物なので少し不安でしたが問題なくバシバシ止まっていってくれました。ちなみにホームセンターのタッカーの棚にはプロ用というごっついやつが並んで売ってたのですがそちらは6500円、、。今日の明日で作業が滞るとかなり困ってしまうのでプロ用を買うかかなり迷いましたが、結果500円ので問題なく正解、6000円得してしまいました。

さて、ほかの準備はというと、展示品のお預かりが完了しているのみ。明日に向けての作業はまだまだ続くのでした。


 続く

2014年5月26日(月)
ごちそう

きのうは午前にとある村の方々の打ち合わせのご来店があり、午後は漆塗りしていました。

土曜が子供の運動会だったので頑張ったご褒美(?)かなんかで子供と妻は西宮のキッザニアに行って帰るの遅い、晩はなんか食べといて、とのこと。


仕事を終え20時半くらい、近所の大衆中華屋さんに入ったら、さいしょの餃子とビールが出てきたときにお友達でもある近所の先輩がひょいっと暖簾をくぐって来られた。娘の幼稚園時代の役員友達で二つくらい上の先輩。

「ひとりでなんしとん(^ ^)」言われながら、日曜の夜が思わぬ楽しい時間になりました。

で一通りたのしく飲んで勘定をしようとしたら、もうエエで、と既にお支払い下さってた。ほんまに気づかんかった。

恐縮しながら気持ちよくごちそう様です!と言い、先輩宅まで自転車押して歩いてお送りしました。


私も大人数じゃない時は時々(泣)後輩や年下のコにはしますけど、さりげなくされるお姿はカッコイイです。
もっと出来るように甲斐性をつけねば。




2014年5月19日(月)
お客様?


誤解を恐れずに言えば ’何にも売っていない’ ウチの店によくお客さんが来てくださいます。何にも売っていないのに。

そしていろんな話を聞かせて下さいます。
そして「手ェ止めてごめんな〜」と言って笑顔でお帰りになられます。

本当に有難いことです。
もうお客様ではなく、これも誤解を恐れずに言えば、
’仲間’、あるいは’同志’、でしょうか。

いずれにしましても同じ時間と場所を心地よく過ごさせて頂ける有難いお方ばかりです。
あ、同じ想い、もですね。

いつもありがとうございます(^ ^)


2014年1月31日(金)
古写真

古い写真(画像)を頂きました。

若いころの父、弘征です。


昭和44〜46年頃とのことですので年齢は30歳くらいです。おそらく当時の妻鹿屋台に上がったところだとおもいます。

41歳目前の今の私より貫録を感じてしまうのは単に息子だから? それともそのまま??、。

ハチマキ・法被・足袋は全く同じですね。
自分が生まれる前の、そして自分よりより十若い父。不思議な感覚です。すこし感慨深いです。


Oさん、送って下さって有り難うございます!!