ご本尊の耐震補強    TOPページはこちら

おおきな行事に向けてお佛具の改修を順次させていただいていますお寺様のご本尊を、地震がきても倒れないようにできないかとのご依頼を頂きました。

そのご本尊は宝永三年に造られたという阿弥陀様です。300年前のものです。
台を入れると四尺(120cm)以上もありました。

方針はすでにできていましたので、さっそく職場にお預かりし作業を始めました。
 
過日の下調べでその全体の大きさにくらべて御々足の下のホゾが小さいことと、ホゾ穴との「遊び」が大きすぎること(あるいは長い歴史で広がったか)、それと本来すこし前傾していらっしゃる関係で、すこしの揺れで前に倒れる恐れがあることがわかっていました。

思案の結果、
処置としてはお背中に加工は忍びないとの意見が一致し、
ご住職の了解のもと御々足のホゾの良い位置に穴を開けさせていただきそこにシャフトを埋め、下の台に差し込めるようにすることで支点を下方に持っていくことで安定感の向上を望むことにしました。



 分解した台と蓮華座。どちらもすばらしいものでした。


葉の部分は各層に分かれていました。
一層ずつばらしていきます。
一度全部分解しそれぞれの位置の精度を保てるよう加工してから芯棒の入る穴の位置を一工夫をもって精確に割り出し、一気に開けました。
本数は二本、平行垂直に行くのは容易くありません。




全部で六層でした。
そもそものホゾ穴は上から二枚目までの深さ(上左・上中)なのがこの画像でわかります。
ちなみにこれだけで阪神大震災のときもどうもなかったと聞いて驚きました。

全層に通した(加工した)穴も見えます。



つづいてご本尊側。
これも穴の位置、角度深さを吟味します。 画像は長さを調整しています。


 
加工完了。
結果、一尺のシャフトを約半分ご本尊に埋め、残りが台に貫通するようにしました。
 下端は蓮華座のまだ下まで至ります。


有難いお姿、無事シャフトが通り元通りになって頂けて安堵しました。
画像を見たらあっという間みたいですが細かい補修も入れて一日かかりました。


光背


きのうご紹介した阿弥陀様の光背(こうはい)です。
その下部の草の文様を彫った部分が丸彫り(一木彫り)でした。


傷みはありましたが、「ええ仕事」やなぁとしばらく見させていただきました。ちなみに須弥壇に安置したら正面からはまったく見えないところです。
一見あたりまえのようで見過ごしそうですが、すばらしいものでした。