姫 路 城 の修復


乾小天守の修理

 昭和60年姫路城乾小天守(いぬいこてんしゅ)の窓枠の修復の依頼を受けました。

 

 修復前の火灯窓(かとうまど)。一見わかりにくいが上部継ぎ目の腐食・ひび割れがひどかった。写真は錆び付いた金物をはずした状態。

 


 

 塗りあがり、金箔を施した金物をうっているところ。


 
 

 

 作業は高所のため困難を極めた。眼下に観光客の行き来もあるため落下物は許されない。
 また真冬であったため漆のしまりが悪く試行錯誤の末ある工夫をしてなんとか乾かせた。


  中央奥に姫路の中心部、大手前通りが見えますか? 



  
  完成。




 写真があまりないため細かい内容は下記の「菱の門の修復」をご覧ください。

 



菱の門の修理

 平成に入ってから「菱の門」の格子および窓枠の修復をおこないました。
 菱の門は姫路城の三の丸広場側の正面入り口から入って、一つ目にくぐる門です。
 行く機会があったらぜひ見上げてください。

   

 正面格子窓三面、脇に火灯窓二面、裏面格子窓二面、計七面。
 写真は金物もついたまま、まったくの作業前の様子。





 これも小天守と同じで腐食・ひび割れがひどい状態。
 上の黒く丸い部分は金物があったため漆が風化せずに残ったもの。 それ以外の部分はすべて剥げ落ち、木がむきだしになっていた。 風雨にさらされ直射日光を浴び、漆にとって最悪の環境。




 低い部分を修正し堅地がつけられた格子。 十数回つけた。
 堅地とは漆の下地の種類のひとつで「錆地:さびじ」ともいわれる。 輪島塗りの下地と同じで当店では仏檀も祭りの屋台もすべて堅地をつかっている。 水に侵されることがなく強固なのが特徴です。

   

 濃いグレーになっているのは堅地の上に墨をひいているから。
 薄い色が、堅地を研いで平滑にしたままの状態で墨をひくとこの下地の色が漆が劣化したときに透けにくくなる。

  

 中塗り上塗りと進み、うるし塗り完成。
 うるしは湿度で乾きます。湿度が低いと乾かず、高すぎると早く乾きすぎて表面が縮みます。  屋外なので曇りの日に湿度を見計らって塗りました。


  


 汚れを落とし修繕したのち金箔を焼き付ける。 金箔は金の純度により種類がある。当然ここでは一番純度の高い  「一号」をつかった。
 金箔一号焼き付け三度押し(箔を三回焼付け)。




 錺り(かざり)金具合計147枚。
 腐食がひどすぎて使えなかったものは新調した。





      

飾り金具取り付け開始

                          


        ―→   

       修 復 前                      修 復 後

 

      

 金具の裏に 「昭和27年修復」 と表記があり、今回の修復が約40年ぶりのことだとわかりました。
 


  

 国宝から世界遺産にまでなった「姫路城」の一部ではありますが修復に携わったことに誇りを感じます。
 これからも名誉ある仕事ができるように日々精進していきます。


  

         <うるし工芸の部屋のTOPにもどる>

         <店のTOPにもどる>