浄土真宗東本願寺派仏檀の洗濯(完全修復)
 平成17年(2005年)末に修復作業が完了しお納めした東本願寺派の内間(高さ約190cm・幅約115cm)のお仏壇です。
平成17年を締めくくる仕事でした。




 まずはいつものように作業前(左)と完成後(右)の比較写真のご紹介です。

 戸のサイズが胴に合っていませんでした。金具の隙間が見えています。

 以前の戸はやむなく没とし、戸四枚は木地からの新調としました。新調にあたり、あらたに框(かまち)に「面」(金箔の部分)を入れることにより高級感が高まりました。

 隅の部分もかなり傷んでいます。

 堅地(漆の下地)を何回もつけもとどおり整形します。

 本来見えるはずのない隙間です。

 戸新調にともない金具も新調しました。

 戸の内側。接合部が割れています。

 内側の金具も新たに造りました。上台に蛍光灯が映りこんでいます。

 

 金具を増やしたこと・胴の正面の金箔仕上げ等により、がらりと雰囲気が変わったことがおわかりいただけるとおもいます。

 壇にはゆがみも見えます。前机はこの写真では置いていません。

 金と黒だけでは単調になるので、勾欄を本朱漆塗りとすることにより印象が引き締まります。ゆがみはもちろん修正済みです。

 

 金箔にも等級がありますが当店では一号色を使用しております。蛍光灯のもとでの撮影のためどうしても白っぽく見えますが実際には良い金色です。お納めしたあとの写真をこの項のさいごに掲載しております、ご参照ください。

 胡粉地(にかわによる下地)はどうしても年月を経るともろくなります。湿気にも弱いものです。

 当店の漆塗りは下地から漆で行うため、湿気や万が一水をこぼしたりしても下地からめくれあがることはありません。前机の筆返し・下壇は黒漆蝋色塗り(研いで磨きあげる手法)です。

 お線香などでかなり変色しています。「手先:てさき」もいくつか落ちています。

 分解→汚れ落とし→補修→漆を下塗り→上塗り→金箔押しとなっています。この屋根に限らずすべての部分がそうです。


 蒔絵の趣も一新しました。

 

 脇板・向板(お仏壇の内側)は艶消しの金箔。ぼんやりと上品に反射します。



 作業(一部)
 


 これらの彫刻や屋根は汚れを一通り落としたあとの写真です。結果、そのまま生きる部分はひとつもなく、すべて漆を塗り直しました。



 

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天井板・引き出し類。接いである箇所はすべてむこうが見えるほど痩せたり曲がったりしていました。もろい下地を剥がし木を埋め、直しました。
 
 御文書箱も修復。スプレー塗りの既製品ではお仏壇とつり合いません。


  組み立ての図。障子の金具も新調










 前述のとおり、戸は木地から新調しました。今回のような蝋色塗りを目指す場合、一から(下地から)塗るほうが好結果に繋がります。
古い塗りの上にどれだけ修正を重ねて塗りなおしても、どうしても平滑な塗り面を得にくいものです。




 納入
 歳の暮れも押し迫る12月吉日お納めに参上しました。





 ↓仏具を配置後の完成の様子。金が良い色をしております。



 御文書箱も見えます。前机・下壇には少しでも傷まないようにとガラスをお持ちしています。
 


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