漆塗り 仏壇, 漆塗り 屋台

堅地 飛ぶ龍

 

屋台屋根の漆塗り。
木固めのあとは、ようやく下地に入っていきます。


生漆(きうるし)。

ウルシノキから採取した漆からゴミをとったものです。

先日のNHKプロフェッショナルで放送されていた日光東照宮の現場も全てこちらの漆でしたね。京都の堤浅吉漆商店さんのものです。堤さんは漆の精製業者さんです。


経験に基づいて地の粉・砥の粉その他と練り合わせていきます。少々労力が要ります。


練り上がった堅地(かたじ)。
屋台屋根は面積が広いので大量の堅地が必要です。

塗師によって様々な手法があるようですが、うちの漆塗りの下地は全てこの堅地を使用します。(彫刻は除く)

それは、『下地も漆』というお題目のためではもちろんなく、仕上がりや耐久性を鑑みて堅地が一番優れているという判断からです。さらに言えば、歴史がある。

お手軽な化学材料は仮に優れていたとしても、長い時間が経過した時の検証が到底少ない。

コスト削減よりも仕上がりが優先。
それが私どもの姿勢です。

この堅地を、あいだに麻布を挟みながら、ゆっくりじっくり20層以上重ねていきます。
ここまではガマンの日々ですが、ここからはいよいよ進んでいくなぁ、と実感できる工程となり、テンションが上がってきます。

 

さて、まもなくお納めする漆塗り修復のお仏壇。珍しい狭間彫刻が付いています。

中央に対の龍が飛んでいます。

祭りの彫刻を見慣れている目にも、とても良い感じです。

お納めしましたら、またご紹介させて頂きます。

 

 

漆塗り 仏壇

進捗

複数のご依頼が同時進行しています。

 

昨年来修復作業を進めておりますお仏壇、


漆の上塗り完了から、蝋色(ろいろ)と呼ばれる磨きの行程に順次入っております。


蝋色とは、塗り上がり硬化した漆の表面を炭(油桐)で一旦研ぎ下ろし、再度漆を延ばす・磨くを繰り返して、鏡面仕上げにする手法です。手間はぐんと増えますが、艶やかな肌となります。


宮殿(くうでん)の屋根は金箔押しが終わり、作業完了。とても煌びやかに上がっています。


各段周りも上塗り・蝋色のあと蒔絵も仕上がっております。

来週以降順次組んでいきます。

 

 

祭り屋台も少しずつ進んでいます。
屋根本体もさることながら、今日は各部材のご紹介。


こちらは津市場北屋台の斗組。下地の盛り上げ、研ぎ、漆の中塗り上塗りまで進んでいます。下に修復中のお仏壇の宮殿柱が見えます。巻き下げの彩色も完了しています。


この大量の斗組は曽根南之町屋台の腰組のもの。ケヤキなので、まずは木目の研ぎ出し作業です。なにせ数が多いので、しばらく続きます。


曽根南之町屋台屋根本体は水切り角を保護する部材を付け、木固めをしました。

 

木固め とは、白木の木地に生漆を吸い込ませ、堅地(漆による下地)を重ねていく素地を作る工程。

堅地の食い付きを良くするのと、もうひとつ役目があります。

漆は塩気等があると硬化しません。この木固めをすることで、塩気や汚れなどにより、漆の硬化しないところをあぶり出します。その硬化しないところだけ色付きせず分かるのです。

もしそんな箇所がある場合は木地の表面を鉋等で一皮削り、硬化するようにします。

 

漆をうまく硬化させる。

これは塗師にとって基本であり、本分です。

 

 

漆塗り 仏壇, 漆塗り 屋台

偶然

一昨日の月曜日、あらたなお仏壇をお預かり致しました。修復のご依頼です。

いわゆる『せんだく(洗濯)』というお仕事です。
まずは一度完全に分解し、溜まった埃や汚れを落とします。その後、傷んでいるところを修復し、適宜漆塗りや金箔押しを施し、再度組み立て。お仏壇がサラのように蘇ります。

本年度はおかげさまで、多くの漆塗りのご依頼を頂戴しております。
悠長にしている暇はありませんので早速ばらします。

このたびの仏壇は、扉等、外装は漆の塗り直しが必要ですが、宮殿(くうでん)や彫刻を含め、内側は汚れ落としと小修理で済みそうです。
お客様がご希望の春の完成にうまく間に合いそうです。

 

さてうちの仕事には、そんな「うまくいく」というような、ちょうど都合の良い偶然がよくあります。

ほんの一例ですが、職場の寸法。祭り屋台の漆塗りにぴったりなんです。

店(職場)の建物の幅は5mほどですが、祭り屋台を2台並べて作業するために、どちらもうまく回転させるのにちょうどピッタリの寸法。あと5センチ狭くても回せません。広い分にはいくらでも良いように思いますが、湿度温度をうまく管理するためには少しでも狭いほうがいいのです。そんな風に見るとうちの職場(オモテ)は祭り屋台2台分にちょうど図ってこしらえた室(ムロ)のようです。

 

お越し下さったことのある皆様はよくお分かり頂いていると思いますが、こんな感じです。

こんな感じなんですが、この白木屋根の左の総才端を見てみてください。


隣の屋根の野地板とのクリアランス、1センチほどしかありません。

ほんとに助かります。たまたまのことです。
右の屋根が高かったり左の屋根が低かったりして当たるとなれば、再度屋根を起こし噛ましている台を外し、加工しなければいけません。

ほかにも部品を入れるセイロに部品がちょうど隙間なくピッタリ収まったり。まあこれは、尺貫法によってそうなってくるだけのことかもしれませんが。

 

とにかく、あぁラッキーってことに恵まれています。
いろんな助けられていること、小さいことにも気づき感謝していきたいです。

 

漆塗り 仏壇, 漆塗り 屋台

刻苧3

ご飯をすり潰して作る糊、続飯(そくい)です。

『弁慶の続飯』という話しがあります。

あるとき牛若丸と弁慶は続飯を作るよう命じられました。力持ちの弁慶、容易いとばかり、お櫃いっぱいのご飯を大きな板の上にひっくり返して、大きな箆(ヘラ)練り、またたく間に大量の続飯を作り上げました。

豪快に糊を作る弁慶、
一方少しずつのご飯を一粒ずつ力を入れてつぶす牛若丸。

さて、出来上がってから使ってみたら弁慶のものは練りが足りず、ところどころに米の粒が残り続け、使いものにならなかった。

対して、牛若丸の方は着実に米を練り上げ、粒が残らないキレイな糊が完成しました。

何事も「こつこつ」が大切、と伝える故事です。

 

刻苧を練っているとき、このことをいつも思い出します。

それと、もうひとつ。
続飯を作るには結構腕力体力が要ります。このあと延々と続く堅地(かたじ)づくりの腕慣らしになっています。

 

さあ、続飯と諸々を混ぜ、最後に生漆を練り込みます。

このあともう一工夫を加えます。

 

出来上がった刻苧を屋根木地の割れや野地板の継ぎ目に付けていきます。

ここも、もちろんこつこつ。

いえ、漆塗りは全部こつこつ。
ひとつの工程を丁寧に着実に。仕上がりに関わりのない工程は何ひとつ無いのですから。

急いでろくなことはありません。

 

漆塗り 仏壇, 漆塗り 屋台

刻苧2

苧は’からむし’と読みます。

麻の古い呼び名で、繊維の意味合いです。刻苧は、それぞれの職人で経験に基づき混ぜ合わせる中身が違います。

うちでも挽粉をメインとして、長年のやり方がありますが、10年ほど前にさらなるヒントに出会いました。

大阪大学で漆の講座があるとのことで、たまたま知ったのも縁だと思い、月一回ぐらいだったか連続講座に半年ほど通いました。

大学教授と漆工芸家による講座でしたが、その中でこの刻苧の話しになり、興福寺の阿修羅像修復時のことに触れられました。

その内容は、思っていたことと反することで、とても参考になりました。

その連続講座の講義録はいまどこに行ったかパッと分かりませんが、本当に大事なことは頭に入り、メモなど見なくとも残るものですね。

 

つぎに「つなぎ」となる糊。うちは炊いたご飯から作ります。

 

つづく

 

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刻苧

先日とある方に、手ェきれいな、と言われました。漆でよごれてないな、という意味です。

漆塗りは、祭り屋台は特に、漆を使い始める前の下準備が結構な時間を要します。大工仕事というと本職の大工さんに叱られますが、屋台を分解するというだけでなく、ノコギリ・鉋・金槌を使ってお預かりした白木屋台の木地を、漆塗りを重ねていける状態に拵えます。

先の秋祭りが終わって早2ヶ月半になりますが、そういう理由でまだ手が普通の手です。

 

それで、今ようやく二台分の木地が整ったので漆の出番を迎えました。まずは刻苧(こくそ)です。

辞書を引くと、

【刻苧】漆に繊維くずや木粉を練りまぜたもの。漆塗りの下地の合わせ目・割れ目などを埋めるために用いる。

とあります。その通りで、職人によりノウハウがあると思います。

メインとなる挽粉を用意します。キメを揃えるためにふるいに掛けます。

 

つづきます。

 

 

 

漆塗り 仏壇, 漆塗り 屋台

系譜

 

週明け朝一はとある寺院さんと打ち合わせでした。

その中で菱灯篭のお話しになりました。

表されていた年号は昭和12年、実に80年前のもの。

そして、作者の銘もありました。

姫路  飯塚製  とあります。

いま祭り屋台の錺金具で広く知られる竹内さんの先代、竹内雅泉師の親方、飯塚友次師です。

父によると、飯塚さんは姫路 産業道路沿いの博労町、つい最近まで姫路信用金庫があったところのほん近くでされていたそうで、その更に親方は荒川さんやそうです。

 

職人の技には必ず系譜があります。歴史に触れた出来事でした。

 

漆塗り 仏壇, 漆塗り 屋台, 私信

謹賀新年

新年、明けましておめでとうございます。

旧年中はご贔屓にして頂き、誠に有難うございました。
ことし平成30年も今までと変わらず斯業に邁進してまいります。

本年度は、すでにたくさんのご依頼を頂戴しております。

急がず、いま目の前にあるものを丁寧に、着実に。
その先に喜んで頂けるお客様の顔を浮かべながら一歩ずつ進めてまいります。少しお時間を頂きますが宜しくお願い申し上げます。

新HPについて、いろんな方々から思った以上に様々なご意見を頂きました。その多くは好意的に受け止めて下さる内容でしたが、やはり、私自身も少し気にしていたご意見も頂戴しました。敷居が高くなったのではないか、というご意見です。

今回のリニューアルにあたっては、プロのWEBデザイナーはもちろん、カメラマン、さらにプロのライターさんにもお力を頂きました。

果たして、ご覧頂いている体裁が叶ったのですが、自分で客観的に見てもなかなかの雰囲気で、少々戸惑ったのも正直なところです。気遅れや気恥ずかしさと言いますか。

もちろん、仕事に対する何かが変わったということはなく、今まで通りこれからも何も余分なことはせず、かといって手間も省かず、まっすぐ漆塗りに向き合っていきます。
気位が高くなったなどということはまっったくございません。
(直接知って頂いている皆様にはよく分かって頂けていると思いますが)

いままで届かなかった皆様にうちのことをより伝わる形で発信したかった、
それだけです。

年末にも書きましたが、修正するところは修正し、追々内容も厚くしていきますので宜しくお願い致します。と言いますか、仏壇屋のHPにいつもこんなにも訪ねて下さって感謝感謝です。本当に有難うございます。

 

さて、年末年始ですが、
年末は大晦日まで走り回ったものの、明けて元日二日は親戚とのあいさつを交わし、久しぶりに何も仕事をしない時間を過ごせました。

きのう三日は、さあ仕事と思ってましたが、子供たちからリクエスト。ことしは秋まで休みが取れなさそうということもあり、正月くらいは、ともう一日ゆっくりさせて貰いました。

きょう一月四日から平成30年を始めます。

がんばります。

 

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HP リニューアル

1999年の暮れ、手作りで開設した当店ホームページですが、18年を経てリニューアルしました。

自社サイトとしては結構な先駆けやったと思います。

まだ電話回線で接続していた時代。
パソコンを購入し、ホームページビルダーで見よう見まねで制作。

アップロードも大変な時間を要してました。

ちゃんと表示されるか、当時姫路駅前にあったNTTのインターネットのフリースペースに通い確認、懐かしい思い出です。

 

なかなか更新に時間を割けませんでしたが、なんとか今まで維持することが出来ました。

より多くの方に、より深くうちのことを知って頂きたい。その思いからの、こんかいの更新です。

この年跨ぎに間に合わせるため、まだ完全な形になっておりません。今後少しずつ、元々の情報を掲載し、充実していきます。

新たに制作した”厨子”についても、さらに画像や情報を掲載してまいります。

 

これからも私ども砂川漆工芸/砂川仏檀店を、どうぞ宜しくお願い申し上げます。